銀→青2

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「どうやら向こうの世界は、医療が発展していたみたいだな。


トシ、総悟、お前達その世界に行ったんだろう? 翼ちゃんが起きるにはまだ時間がかかりそうだし、その話をしてくれないか?」



「「え」」



近藤の提案に、包帯を巻ながら山崎も同意する。


「それいいですね! 俺も聞きたいです!」



「「……」」



目をキラキラさせる二人とは反対に、土方と沖田はあまり積極的でない返事をする。そして二人顔を見合わせ、「お前は?」等と言い合っている。


当然、近藤は疑問を抱いた。


「あれ? どしたの?」


すると、二人は何ともしれっと、近藤に言葉を投げたのだった。


「いや、近藤さん……話してやりてーのは山々なんだが……」


「話すほど向こうの世界のこと知らねぇんでィ」



「「え?」」



「「……」」
 


「「え?」」



「「……」」




「「えぇ〜!!!?」」




無残にも近藤と山崎は、土産話を聞くことが出来なかったのであった。



だが、それもそうであろう。二人が違う世界に行った時は、翼を取り返そうと必死だったのだ。


そんな時呑気に、

「ここはどういった世界ですか」

なんてことを聞けるはずがない。



そのため、ほとんど”無”という結果に終わる異世界情報。


が、


しかし一つだけ、土方の脳に残っていることがあった。



それは――――



「そういや、ピエロみたいな奴が言ってたな。



”名前はメフィスト・フェレス”



って」





ピクッ 



この時、翼の指がほんの一瞬だけ、小さく小さく動いたのであった。



 
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