銀→青2
□39
2ページ/15ページ
「翼が行っていた世界に、どうやら高杉も来たらしい」
「「「!?」」」
「そこで翼は向こうの奴らを守ろうと一人で頑張ったみてーだが……」
「返り討ち、ですかィ?」
沖田は翼を見たまま言う。返り討ちならば、他の箇所にも傷があっておかしくないと思ったのだ。
だが、土方は首を振る。沖田は僅かながら肩を降ろした。
「向こうの奴らが言っていた。”守ってもらった”って。だから、翼もある程度の反撃が出来たんだろう。
それに……」
「何ですかィ」
「翼が強いのは、お前が一番知ってるだろ」
ニッと笑む土方に、沖田もいつものような力強さはないが笑い返す。「当たり前でさァ」と言いながら。
と、その時――。
「副長……」
「? 何だ」
山崎が手当てを止め、土方を見る。すこし、汗を滲ませながら。
「これ、誰が最初に手当てしたんですか?」
「……知らねぇ。俺が行った時は、翼はもうその状態だった。
どうした?」
「いえ、ただ……止血は完璧にされてますし、傷口ももう適切な処置かしてあります。
医務室の人を呼ばなくても、俺一人で出来るくらいです」
「「「……」」」
山崎の姿を、驚きの表情で見る三人。土方が「他に傷は」と聞くが、「ありません」と返って来る。
それに対し、近藤が土方と沖田に尋ねた。