銀→青2
□42
4ページ/16ページ
メフィストの言うことが解せないのだろう。アマイモンは頭を、コテンと横に倒す。
「それは僕の物にはならないんですか?」
「そうだ」
「つまらないなぁ……」
頬を膨らませるが、アマイモンは何かに気付いたようにパッと顔を変える。
「どうした?」
「また行ってきます。”これ”で」
”これ”とは、無限の鍵である。どうやらアマイモンはまたお土産を買い、そこで浴衣を調達するようだ。
「それは構わない……が、今回ばかりは長居してこい」
「”すぐ帰れ”ではないんですか?」
「あぁ」
またもやニッと笑う兄をそのままに、アマイモンは扉に近づく。そして鍵を挿して扉を開けるのだが……。
「どこかへ行くのですか? 兄上」
「……あぁ。私もここを空ける。数日ほど、な」
「そうですか」
興味があって聞いたのか、そうでないのか。
やはり思考回路の読めないアマイモンは、扉の向こうの、騒がしい場所へと姿を消す。
パタンッ
そして、それを見送ったメフィストも、ガタリと席を立った。
二、三歩歩くが、「おっと」と言ってまた机に戻る。そして一番上にある引き出しを開け、ある物を取り出す。
「これも、か」
持つとカチャと音が鳴るそれを、メフィストはしばらく見る。この刀の持ち主である沖田の顔を、思い出していたのだ。