銀→青2
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”「翼?」
『っ!』”
翼が刀を直しにシュラと買い物へ出掛けた、その夜。翼はメフィストに浴衣をプレゼントした。
その後翼が、何か言いたそうに口をパクパク動かしていたのを、メフィストは思い出す。
「まさかその時、自分も同じのを買ったと言いたかったのか?」
メフィストは、手にある”それ”から目を離さない。ただジッと、その時翼からもらった色鮮やかな浴衣を見る。
「……」
その時、メフィストが考えていたことと言えば――
なぜ、翼はお揃いを買ったのか、
また、
なぜ、買ったことを言わなかったか。
バリバリッ
アマイモンの雑な音が耳につく中、メフィストは声をあげる。
「アマイモン!」
「はい?」
そして久しぶりにニッと嫌な笑みを浮かべ、またもや不条理なことを言いのけるのであった。
「これは私が預かっておく。お前は諦めろ」
「えー。兄上またですか?
それに翼はもういません。預かるだけ無駄です」
「そうだなぁ。確かに、そうだ。
だが……
翼と会うことが出来れば、それも意味あるものになるだろう」
ニッ