銀→青2
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「でも一番隊っていっても、パトロールですよ。斬り込みの予定は今の所ないそうですから。
それに、病み上がり一番に斬り込みってことはさすがにないでしょうし」
翼の隊服のほつれを直しながら言う山崎は、まるでどこかのお母さんだ。だから、というわけでもないが、翼は変に山崎を見てしまう。
それに山崎も気づいて視線を合わせるのだが……。
『……』
「神崎補佐?」
『! あ、いえ……何でも』
”何でもない”と言い張る翼だが、山崎は深く迫ってくる。
「前から思ってたんですが……神崎補佐って、たまに考え事してますよね」
『え……気の、せいです』
「いえ、一週間ずっと見てきたからこそ分かります。神崎補佐は何か考え事をすることがある。それに……」
『……?』
「その時の表情は、いつもどこか寂し気です」
『……』
その山崎の言葉を聞いても、翼は決して驚かなかった。それは、まるで最初から自分で分かっていたかのようで……
『山崎さん』
「はい?」
その原因も、自分で分かっていたかのようだった。