銀→青2

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翼が二度目の眠りについた時、別の世界ではこのようなことに――



「随分静かになったじゃないか〜?」



「そうですか? 以前と変わらない気がしますけどね」



「んーや、変わったね。ここも、


お前も」



「……どういうことでしょう」



「一から十まで言わないと分かんねーのかぁ?


自分勝手なメフィストさんよ〜?」



「……お酒が回っているあなたに付き合うのは厄介ですね、


シュラ」



今、理事長室には二人の人物がいる。お酒を飲み既に顔を赤くしているシュラと、ソファーで向かい合い、それに付き合っているメフィストである。



翼がこの世界を去った後、シュラは毎日のように理事長室へ来て酒をかっくらう。


初日は燐と雪男が付き合わされたが、ノリの悪い二人に愛想を尽かしたのか、その日以後は決まってここに来る。


最初はメフィストも嫌がっていたが、この光景に慣れてしまった今は一日の日課として、この時を素直に過ごしていたのだった。


「おら〜お前ももっと飲め!」


「毎日毎日、よく飽きませんね。本当、さすが26さ、」



メキッ



「なんか言ったか?」


「……空耳でしょう」



途端、シュラの持つ缶ビールが凹む。反動で中身が少しテーブルに飛び散ったので、メフィストはため息をつきながら吹いていく。



テーブルの上にある、ある物を避けながら。


 
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