銀→青(短)

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ある日の職員会議で、翼は異変に気づいた。


『雪男さん、今日眼鏡はどうされたのですか?』


そう。いつも相棒のように雪男に寄り添っている眼鏡が、今はポッカリと姿を消している。


雪男は、顔を少しだけ歪めて答えた。それに翼も返事をしていくのだが……


「先程兄とちょっと……。その途中に割れてしまいまして」


『ふふ、仲が良いんですね。


ところで雪男さん、ペアは?』


「はい?」


翼の話がぶっ飛んだのだった。


「ペア?」


『はい。いつも寄り添っていないと、変な感じしないですか?』


「よ、寄り添う?」


『はい。やっぱり、ペアがないと……』


「……」


雪男は追いつかない思考をグルグル回転させる。


会議中だということも今は忘却しており、一人ぶつぶつ唱えるように呟いた。


「ペ、ペアってのは、人とってことで……それが寂しいってことは……」


すると、念仏最中に、翼が言葉を入れる。


『あの、もし良ければ私が、』


「!?」


が、そこから先は聞くことなど出来やしない。雪男は自分の考えが間違っているとも知らず、

「ぇえ!? ちょっと失礼します!!」

と言って会議室から飛び出した。


『……雪男さん?』


そのことを当然不思議に思う翼だが、こちらもこちらで自分の間違いに気づいていない。


そこへ、二人の縺れ過ぎた糸を解くため、あの男が口を開く。


「翼、”替え”はペアではなく、スペアですよ」


『あ』


「……」


その後翼が自分の間違いに赤面する姿を、ため息なしでは見られなかったメフィストなのであった。



そして、まだ赤い顔で戻ってきた雪男に翼が、

『私が一応として持っている眼鏡、かしましょうか』

と言ったことにより、雪男が全てを理解したのは、それからすぐの話。


 

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