銀→青(短)

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塾が終わった夕方、それは起こった。


『燐さん、私と勝負してくれませんか?』


「へ?」


いきなりの問い掛けに、燐はしばし言葉を失う。


翼は説明した。


『あ、勝負っていってもジャンケンです。急にしたくなっちゃいまして』


眉を下げても、ウインクしながら意地悪く笑う翼に、燐は笑顔を向ける。


「おう! 臨むところだ!!」


『良かったっ! では、いきます。


ジャンケン、ポイッ』



翼はグー。
燐はパー。



『……』


自分の手を見て何も言わない翼に、燐は慌ててフォローを入れる。


「な、ジャンケンくらいで、そんな落ち込むなよ〜! またしようぜ!」


が、その誘いも空しく翼に拒否される。


『いえ、たぶん私負ける体質なんです。


今までは沖田隊長がズルして勝って私をパシらせていたのだとばかり……』


「ん? 何か言ったか?」


『いえ、何でもないです! ありがとうございましたっ』


ペコリと頭を下げて扉の方へ向かう翼。だが、何かを思い立ったように再び燐の元へ戻ってきた。


「?」と疑問に思うのもつかの間。翼は燐の耳へ口を近づけ……



『別の勝負……例えば、剣とか。



夜中でもいつでも、私はお相手しますから』



”燐の夜の特訓”の手伝いを、申し出たのであった。


最初は驚くが、しかしいつものように人懐こい笑顔を向け、返事をする。


「おう! よろしくな!!」


それに翼は、『こちらこそ』と言ってその場を後にした。


「♪」


翼との関わりが出来たことに、喜びを感じている燐。しかし、あることに気付けば表情も一変する。


それは――



「青い炎……見られたのか?」



その夜、寮で頭を抱える燐を、雪男は何度となく目撃したのであった。


 

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