銀→青(短)
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翼は塾の教室で、ある書き物をしていた。
そこへ、なんと珍しい。燐が1番乗りでやって来た。
カチャ
「おう! 翼!!」
『っ燐さん! 今日はいつもより早いんですね』
褒めれば、単純かな。燐は「いや〜」と嬉しそうに言いながら翼の隣に座る。
しかし、そこである物を見つけた。
「ん? 翼、それ何だ?」
机の上を見れば、細長く、しかし丸っこい物がある。更に翼はその上に何かを書いているようだ。
『あ〜……』
翼は言葉につまりながらも答える。
『これは”巻物”というんです。巻物には文字が書けるので、伝達事項や秘伝……更には、手紙にまで使えるんですよっ』
「……」
燐は何も言わない。しかし翼は『直接会わないと渡せませんけどね』と、眉を下げて笑って続けた。
しかし、燐がそれを制す。翼の顔付近に持ってこられた手は、すぐに翼の頬に触れた。
『え? い、いひゃい〜!』
少々荒く、だが。
『もう! いきなり何ですか! 顔が大きくなっちゃいます!』
「まぁまぁ怒んなってー! それよりさ、これ俺も書いていいか? 翼の友人ですって、翼の上司に挨拶しなきゃな!!」
ニカッと、いつものように眩しいくらいに笑う燐を翼は数秒見る。
そして自分の顔にも燐の笑顔を移せば、生き生きと、燐に筆の持ち方から教えたのだった。
「うぉ!? 翼これ書けねーぞ!!」
『(予想以上の……汗)』