PP×戯言

□四章
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「そもそも」

「はい?」

「……いや」

そもそも、和音は出会ったその時ドミネーターでこの世から消される人間だったのだ。理由は、それくらいに色相が濁っていたからである。それに、最近はその色相も安定しない。数値が高い月だって何度かある。それらのことを考慮すると、優に潜在犯である和音のとった異常な行動に問題があるわけではない……いや、潜在犯だからこそ¨¨問題がない¨¨と断定は出来ないが。
しかし、執行官として¨¨問題がある¨¨となった場合、和音はどうなるんだ。危ういながらも執行官を続けて行くのか、それとも――

と、狡噛が「……いや」と発するまでにこれまでの思考があったとは、彼の目の前にいた朱さえも知らないだろう。

「こ、狡噛さん?」

「いや、なんでもない」

「は、はぁ……」

一方の狡噛は、やはり現在においては何も発言すべきではないと考え、口を閉ざす。その口は、重たいものだった。

「……監視官、俺は明日には捜査に戻れる。だから、バラバラ殺人事件の班に俺も混ぜてくれ」

「え」

「犯人が分からないとなりゃ、猟犬の嗅覚を持つ俺らに任せな。あいつら(潜在犯)とは考える事が似ているせいか、勘がよく当たる」

朱は一瞬、「勘かよ」と悩んだが宜野座がいない今、一番頼れるのは狡噛(または征陸)しかいないため首肯する。

「よろしくお願いします!」

「あぁ、こちらこそ」

安堵したような笑顔の朱とは反対に、一瞬笑顔を見せた以来、まるで考え込むように口を真一文字に閉ざした狡噛。その後、彼が和音に話しをしに行ったのは、彼が業務に復帰した後、一番のことだったらしい。
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