銀→青
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『それに私、いつか言いましたよね?
”必死になるその時は、混ぜてくれ”と。
私、その時をずっと待っているんですよ』
柔らかい笑みを浮かべクスクスと笑う翼に、燐も降参したように笑う。
そして――
「途中で聞きたくなくなったら耳を塞いでくれていいから……聞いてくれるか?
俺の、全てを」
『はい』
翼は、ゆっくりと頷いた。
燐は自分のことから、今まで起きた出来事を、決して削ることなく全て話す。
その間翼は表情一つ変えず、ただ静かに、そして真剣に燐の話に聴き入ったのだった。
そして、しばらくの時が流れる。
「――と、ゆーわけなんだ」
『……』
「この間怪我した時も、結構な深手だったのにすぐに治りやがった。聖水も、浴びると結構キツかった。
そーゆー経験を重ねる度に思う。俺は、やっぱり普通の人間でなく化け物なんだってな」
『……』
「だから、翼の夢で思ったこと……とても他人事とは思えなかった。
自分はいつかそうなるんじゃないかって。一人になるんじゃないかって」
『……』
「でも、それでも俺は……もし皆にバレて一人になっても、塾に通い続ける。
じじぃの墓の前で誓ったんだ。
”魔神をブン殴る”ってな!」
『……』
話し方は穏やかだが、今燐の顔を見るといつものように笑顔がある。その力強い燐を見ると、翼は無性に涙腺が刺激された。