銀→青
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『嫌な夢で――』
『皆私から離れて行く――』
『まるで、一人ぼっち――』
「!」
燐は翼の話を聞いていた。そう、聞いていたのだが、自分の気持ちが先んじて出てしまい、今は翼の声もどこか遠くに聞こえる。
燐は、重ねていたのだ。
そうなった自分と、
これからそうなるかもしれない自分と――。
『……燐さん?』
「ぅお!? あ、わりぃ……」
物思いに耽っていれば、不意を突かれる。今まで聞いていなかったことを含め、素直に謝る。
一方の翼はそのことに対して何も怒っていないのだが、別のことに対しては何か納得のいってない風だ。
『燐さん、何か私に言いたいこと……ないですか?』
「え?」
『私じゃなくとも、何か胸の内を誰かに話したいとか……思ってないですか?』
「ど、どうしたんだよ! いきなりー!!」
とぼける燐だが、翼は違う。寄せていた眉を今度は垂らし、続けて燐を見る。
『似てるんです。何かを抱え込んで、一人でもがく姿が、私の上司に』
「あ……」
『私、その時何もしてあげられなかった。ううん、その胸の内を知ることも出来なかった。上司は何でも一人で解決しちゃう人ですから。
でもそれって、すごく自分に負担がかかるんじゃないかなって、いつも思うんです。だから、話すだけでも楽になれるなら、是非話してほしい。
それに、頼られるのってとても嬉しいことなんですよ』
ジッとこちらを見て動かない燐に、翼は更に続ける。