銀→青
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そろそろ頃合いだろうと思い、コップを遠ざける。すると翼にとってもピッタリのタイミングだったらしく、ニッコリと笑顔で反応を示す。
「もう、大丈夫ですか?」
『っん! ケホッ……ふぅ。
はい、大丈夫です』
少しの掠れはあるが、それでも本当に大丈夫な様子。メフィストは「それは良かった」と笑顔を浮かべる。
『あの……迷惑をかけてしまい……申し訳ありません……』
栄養剤を注入していたとはいえ、やはり頬が少しこけている。そんな翼がシュンと肩を落とすと、以前より一回り程小さく見えてしまう。
しかし、ますます子どもに見えてしまうそんな翼の頭を、メフィストは優しく撫でた。
『あ、の……』
当然翼はもじもじする。が、メフィストは構わず顔を寄せ、
「言葉が違いますね。
どうせ謝るなら、”迷惑をかけて”ではなく”心配をかけて”と言ってください☆」
いつものウィンクを投げたのだった。
『……プッ。ふふ、はいっ。では、改めて。
心配をかけてしまい、申し訳ありませんでした。あと……』
「なんですか?」
『色々と、ありがとうございました』
「……」
翼の素直な言葉に、メフィストは顔を曇らせる。それはあのことを考えてのことで、
『メフィストさん?』
翼の知らないことで、
「いえ……何でも。
元気になってくれれば、私はそれで良いですから」
翼には決して、言えないことだった。
”「翼ーーー!!!!」”