銀→青
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その頃――
ドダーンッッッ
真選組の屯所では、一つの音が騒がしく、そしてバズーカよりも大きくこだましていた。
「て、敵襲ー!!」
「中庭だ!」
「見回り何やってたんだよ!!」
その音を聞けば、いつか銀時が来た時のように驚き慌てる隊士達。直ぐさま武器を持ち、情報のあった中庭へと急いだ。
タタタタ……
タンッ
一番に着いたある隊士。その隊士は、目の前で起こっている出来事が信じられなかった。
「……お……きた、隊長……?」
そう。中庭に来たは良いが、そこは砂埃が蔓延している。しかし、よくよく目を凝らして見ると、その砂埃の中心にある人物が。
それは日頃隊士達が恐れて仕方のなかった栗毛、一番隊隊長・沖田総悟であった。
「沖田隊長!! どうしたんですか!?」
片膝付いて中庭の中心から動こうとしない沖田。その姿に最初に来た隊士はもちろん、後から次々に来る隊士もどうしたものかと沖田の身を案じる。
また何かやらかしたのだろうと思う隊士もいたが、それにしては沖田の様子がおかしい。
隊士も、行動を共にしていれば沖田の状態が分かってくるらしい。それは今に活きており、日々身につけた危機察知能力が、隊士に告げる。
今の沖田は遊びなのではなく、本気モードなのだと……
だが、ここでまた状態は変わる。
静寂としていたその場に、カチャとどこか聞いた音を響かせて、新たな足音が加わった。
その人物は、言わずもがな――
「何か言い残すことはあるか? 総悟」
真選組鬼の副長・土方十四郎である。