銀→青

□30
2ページ/13ページ




”やだーもう、何言ってるんですか☆”



と、いつものメフィストなら言っていただろう、確実に。だが、今のメフィストの表情はそのようにおちゃらけたものではない。


シュラもそのことに気づいたのか、いつものからかうような表情ではなく、真剣なものになる。


「メフィスト、お前今回翼をこんなにして……満足か?」


「……」


「大体のことは分かってるつもりだ。翼がこんなことをしたのも、大概はお前が絡んでいるんだろ」


「……」


「無言……か。いつものお前らしくない」


ハッと鼻で笑うシュラ。外面はいつものシュラだが、内面は少しばかり困惑していた。



これがあの、メフィスト・フェレスかと――。



「満足……」



「? なんだ」



その時、メフィストが何かを呟く。シュラはメフィストを見た。するとそこには、本日二回目の、初となるメフィストの表情があったのだった。


メフィストは笑う。


「”満足か”と言われれば違います」


「……そうか。珍しいな、物事を上手く運ぶことがお前の十八番だろ」


そして、また、メフィストは笑う。


「ざまあないですか?」


「まぁな。お前には本部も手を焼いてるから、少しは痛い目見るのが良いだろう」


そして、また――


「そうですか。

しかし、翼のこの状態に、私は痛い目を見てはいません」


「それは、翼のこともただの駒としか思っていない、ということか?」




そして――



 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ