銀→青
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「で」
時は早朝。場所は理事長室。そしてそこには、翼と翼を手当てし終わったシュラと、メフィストの三人がいた。
今はもれなく拷問中で、背の高いメフィストがシュラを前にいやに小さくなっていた。
「どうして、こんなことになっているのかと聞いてるんだけどな〜?」
「……」
「……」
沈黙という名の気まずさ。しかしメフィストは、その気まずさをずっと引きずろうが真実は話さまいと、固く心に誓っていた。
「言えないようなことか?」
「……」
そりゃそうだろう。
翼が今ほどの怪我を負っているのは自分のためで、
なぜ自分のためかと言うとアマイモンにやられたからであって、
なぜアマイモンにやられたかと言うと翼を庇ったからであって、
そして、
そうなるように仕向けたのは、誰でもない自身なのだから。
言ってみれば、今翼がこのようになっているのはメフィストのせいだと言える。
そんな事実を、あの一件以来妙に翼への親密度が増したシュラに言えるわけがない。
そのため、メフィストは沈黙を突き通しているのだ。
だが、それもメフィストのことを大体知っているシュラにはお見通しなのだが……
「はぁ。前とは完璧に立場が逆転だな。何で互いで互いを責めあってんだか……。
だけど、あたしはちゃんと話した。きちんと、本当のこと。
お前と違ってな」