銀→青
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ザクッ
「……」
木々をくぐり抜けるメフィスト。不安定な足場を踏み鳴らし歩くが、どうもブーツは土には合わないらしい。取り合えず、歩きにくいことこの上ないのだ。
しかし、そんな状況の中でも、メフィストは歩くことをやめない。
「……」
やめない。
「……」
やめない。
「……」
いつまでたっても、やめないのであった。
その理由は単純明快。
メフィストが、見つけてしまったからだ。
ザクッ
扉から、遠く見えた光の中で、
ザクッ
まるで最初からその色であったかのように自然で、
ザクッ
真っ赤で、
ザクッ
そして、その映える赤にも負けないほど、
ザクッ
光を受けて綺麗に反射する、
ザッ
「翼……」
木にもたれ掛かって動かない、小さな15歳の姿を――――。