銀→青
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「なぜ兄上がそこにいるのですか? 僕は翼を殴るんです」
今だ恐ろしいことを言うアマイモンに、メフィストはため息混じりに答える。
「少し予定が狂った。翼はもういい。元々一発の予定だったのだ。
向こうにお菓子をおいている。それを持って、あいつの観察でもしにいけ。その時は、好きなようにやっていい」
「本当ですか? わーい。
では」
スタスタと部屋の外へと足を進めるアマイモン。そしてバタン、という音を響かせて、アマイモンという危険はやっとその場からいなくなる。
取り合えずなんとかなったか。
メフィストは情けないながらも、安堵のため肩を下ろす。すると自然と、自分の中にいる翼に多くの負荷がかかった。
今更ながら翼がいたことを思い出し、尚も転がったまま、翼に尋ねる。
「翼、大丈夫ですか?」
『……』
しかし、翼からは肯定もなければ否定もない。恐怖に脅えているのだろうと、更に抱きしめる力を強くすれば、案の定。翼の肩は小刻みに震えていた。
自分のせいでこうなったという認識はさすがにあるらしい。メフィストは素直に謝る。
「すみませんでした。まさか、翼があそこで承諾するとは思わなかったのです。
アマイモンはあのように見えて強いです。私も厄介するぐらいですからね……。次会ってももうしないよう、言っておきます」