銀→青
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そして軽くテーブルの上を吹きながら、続きを話す。
『そのことに気づいていたのは、実は副長と副長が抱える監察の二人だけでした。私は、江戸にきて体調を崩し、入院したミツバさんにつくよう、副長から言われていたのです。
副長とミツバさんは昔からの仲良しでした。それこそとても深い、間柄で……。
そのミツバさんを傷つけられたのが許せなかったのと……副長のちょっとしたプライドがその事件を秘密にしたのです』
「誰にも言わなかった……一人で、ということですか?」
翼は頷く。
『刀はもちろん、銃や爆弾が待ち望んでいる所へ、一人で。その頃調度、ミツバさんの容態が急変しました。死が、すぐそこまでに――。
しかし、監察が副長の単独行動を報告に来たのもその時だったのです。ミツバさんなら待っていてくれる。
私達は応援へと、副長の元へと向かったのです』
「……」
「……」
二人は、ただ黙って聞いていた。その胸には、一体どのような感情が芽生えているのだろうか。一体、何を思っているのだろうか……。
『止むなく葬ったり、逮捕したり。副長も怪我を負いながらですが、その事件は無事幕を閉じました。
そして私たちが帰って来ると安心したのか、ミツバさんの人生も、笑って、幕を閉じたのです。
しかし、皆が歎き悲しむ中、副長の姿だけは見当たりませんでした。探すと、ミツバさんが好きだった激辛煎餅を屋上で一人、食べていたのです――――』