銀→青
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しかし、”傘”といっているが、見る限りはそんな可愛いものではない。
確かにいつもメフィストが持っている独特の傘なのだが、その先についているのは明らかに違った。
『メフィストさ……それ……』
ニッ
「奥村先生のまね事をね……」
そう。その傘は、神楽の持っているような銃弾が出るものに変わっていたのだ。
しかし、危ない物だと分かっていながらメフィストはそれを戸惑いなく、ネイガウスに向ける。
斜め後ろにいた翼には、その光景が嫌というほどよく見えた。
『メフィストさん、やめてください……っ』
「いっそ、この辺で白黒はっきりさせとくか? ネイガウス」
『メフィストさん!!』
翼の開口も空しく、メフィストはあらぬ方向へと話を進めようとする。
翼はまるでいない者とされ、メフィストに相手にされない。そのことにより、翼は更に焦りを感じた。
チラッ
そして、そんな翼を盗み見見る人物がいる。その人物はもちろん……
「さぁ、答えを出せ。ネイガウス」
メフィストだった。
以前、メフィストが呟いた独り言――
”翼がどれほど私に近づいたのかも調度確かめたかったしな。
さぁ、翼。
お前は仲間を傷つける私を目の前で見た時、果たしてどちらの側につく?”
その言葉の意味が、今、この現実に起こっていることなのだった。