銀→青
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『出来たぁ!!』
元気な声がその場に響く。見れば、ある物を目の前にして翼とウコバクが手を叩いて喜んでいた。
今まで、少し遠くでその様子を見ていたメフィスト。
頃合いを見てキッチンに足を運ぶ。
「出来栄えは、どうですか?」
すると、暑いのか、頬を赤らめた翼が勢いよく振り向いた。
『メフィストさん、見てください!! ウコバクさんと共同で作ったお祝いケーキです!!』
「おぉ、これはスゴイですね☆」
出たのは正直な感想。メフィストの瞳に写ったのは、3段にも積み立てられた特大号のケーキだった。
主体はホイップで、外にはこれでもかというほど苺が盛りつけてある。
そして一番上の段には、チョコプレートの上にホワイトチョコペンで書いたのだろう。
”昇格おめでとう!!”
と器用に書かれていた。
翼は話す。
『皆さんには3時のおやつにと思ったのですが……一日かかっちゃいました』
眉を下げ時計を見ると、時刻は8時。ご飯は終わっているだろうし、あの燐に至ってはもう寝ているかもしれない。
そのことを考えれば、翼は表情を暗くした。
『今持って来られても、迷惑ですよね』
それを聞いて、隣にいるウコバクも肩を落とす。一瞬にして、しんみりとした空気が漂った。
しかし、そこへ一つの咳ばらいが。
そうしたのはもちろん、メフィストだった。