銀→青
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確かに初めてばかりで心許ない翼にメフィストがいれば、何かと安心だろう。
翼は素直にお礼を言う。メフィストは笑って返し、話を続けた。
「では、さっそく今晩です。
医工騎士の先生方は体力を温存しておいてください。負傷する生徒はきっと出ますからね」
『……』
「それでは、以上です。
解散☆」
ガタガタと席を離れ、小部屋から退散する講師達。雪男もすぐ授業があるらしく、翼に別れを言えばすぐ去った。
見渡せば、その部屋にいるのは翼とメフィストのみ。
「では、帰りましょうか☆」
鍵を持って準備万端のメフィスト。しかしその裏腹に、翼は席を立たない。
「翼?」
不思議に思ったメフィストは尋ねる。それを受けた翼は、ゆっくりと言葉を紡いだ。
『先程メフィストさんが言っていたこと……あれは、本当ですか?』
”負傷する生徒はきっと出ますからね”
メフィストは「あぁ」と思う。翼はきっとこのことを言っているに違いないと確信した。
「本当ですよ☆
現に、毎年数人出るのです。ですが、たいしたことはありません。よって、心配する必要もありません」
メフィストは、事実を述べると共に安心させるように言う。
その言葉で幾分肩の力が抜けたように見えたが、まだ思うことはあるらしく翼は口を開いた。