銀→青
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コンコンッ
「どうぞ」
『失礼します』
ガチャ
と音をさせて入ってくるのは、先程授業を終わらせて来た翼。
鍵がなくてすぐには帰ることが出来なかったが、いつぞやの雪男の見送りでここまでの道のりを何となく覚えていたため、歩いて帰って来たのだ。
『……あれ……?』
しかし、帰ってきた翼に物珍しい人物が――。
「あ、そういえば翼は初対面でしたね。紹介します。
彼はネイガウス。あなたと同じ、塾の講師ですよ☆」
『そうなのですか、あ……。
初めまして。この度新たに講師となった神崎翼です。よろしくお願いします』
ここまで翼が言うと、隻眼の男・ネイガウスは翼の方を振り向いた。
『! ……』
ネイガウスの表情を見るなり、僅かだが体が揺れた翼。幸い誰にも見られていないが、しかし顔は強張っている。
「どうした?」
翼の表情が硬いことに、ネイガウスは指摘をする。それに対し翼は『いえ』と言ったきり、もう何も言わなかった。
と、そんな時。
メフィストが話に入ってくる。と言うよりも、先程の紹介の続きをした。
「実は私とネイガウスは古きよき友人なのですよ☆」
「!?」
『! そう、なのですか?』
メフィストはニヤリと笑う。