銀→青
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「……あら?」
「あ〜こいつ、人見知り激しんだ。気にすんなっ」
「そうなんだぁ……残念」
落ち込むしえみを励ます燐。しえみはどこか寂しそうだ。
しかしメフィストは気にしない。真っすぐに前を見れば、その態勢からしばらく動かなかった。
キーンコーンカーンコーン……
『では、始めましょうか』
本当に講師初日かと思えるほど堂々たる面持ちで内容に入る翼。
メフィストは目を離さなかった。
『さて、皆さん。この間はお騒がせしました。改めて自己紹介したいと思います。
名前は神崎翼。歳は15。資格は何もありません。
一番得意とするのは剣術。他には武術・体術。これについては実技がありますね。そちらの方でもよろしくお願いします』
ペコリと頭を下げる。そして再び顔を上げれば、新しいチョークを持った。
そして黒板にある数字を書く。
カツッ
「5?」
燐が読み上げれば、翼はニコリとした。
『私がこの講義担当に抜擢されたのは、少なからず私のメンタル面が強いからなのだと自負しています。
そしてその私の強さは、この歳から今までの間で構築されています。
故に、私は順を追って話していきたいと思います。私がここまでにいたった、全てのことを……』
生徒は、そしてもちろんメフィストも、誰も何も言わない。翼はゆっくりと、過去を振り返るのだった。