銀→青

□19
2ページ/9ページ



「いってぇ〜!! このバカ犬!!


主人そっくりに嫌な奴だなぁ!!」


ガリッ


「い゙ってえぇーー!!!!」


『り、燐さん! 甲から血が出てますよ!』


翼はポッケから素早く絆創膏を出す。そして口で加えて破れば、ものの数秒で燐の血は止められたのだった。


「……さ……さんきゅ……」


『いえ』


「……っ」


相変わらずの素早さにア然としていれば、燐の目に入るのは優しく笑う翼の顔。


それを間近で捉えてしまえば、燐は体中の体温を上げるしかなかった。


「単純ですね」


小さな声でボソリとメフィストが呟く。もちろん、ジトリと見ることも忘れずに。


「う、うっせーよ! ってか、何でまたここに来るんだよ!


わざわざからかうために来たのかぁ!?」


翼はもう教壇に上がっているため、二人の会話は聞こえない。


メフィストは答える。


「あなたに答える義務はありませんよ」


「チッ。相変わらずわけ分かんねー奴だな……。


しえみー。こいつ側に居てもいいか?」


これ以上のメフィストとの会話は無意味だと判断した燐。隣にいるしえみに犬アレルギーではないかということを尋ねれば、しえみは笑顔で答えた。


「うん! 大丈夫!


こんにちは〜わんちゃんっ」


「……」


いつものように何にでも話しかけるしえみ。しかし、メフィストはにーちゃんのようにはいかない。

 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ