銀→青
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「いってぇ〜!! このバカ犬!!
主人そっくりに嫌な奴だなぁ!!」
ガリッ
「い゙ってえぇーー!!!!」
『り、燐さん! 甲から血が出てますよ!』
翼はポッケから素早く絆創膏を出す。そして口で加えて破れば、ものの数秒で燐の血は止められたのだった。
「……さ……さんきゅ……」
『いえ』
「……っ」
相変わらずの素早さにア然としていれば、燐の目に入るのは優しく笑う翼の顔。
それを間近で捉えてしまえば、燐は体中の体温を上げるしかなかった。
「単純ですね」
小さな声でボソリとメフィストが呟く。もちろん、ジトリと見ることも忘れずに。
「う、うっせーよ! ってか、何でまたここに来るんだよ!
わざわざからかうために来たのかぁ!?」
翼はもう教壇に上がっているため、二人の会話は聞こえない。
メフィストは答える。
「あなたに答える義務はありませんよ」
「チッ。相変わらずわけ分かんねー奴だな……。
しえみー。こいつ側に居てもいいか?」
これ以上のメフィストとの会話は無意味だと判断した燐。隣にいるしえみに犬アレルギーではないかということを尋ねれば、しえみは笑顔で答えた。
「うん! 大丈夫!
こんにちは〜わんちゃんっ」
「……」
いつものように何にでも話しかけるしえみ。しかし、メフィストはにーちゃんのようにはいかない。