銀→青
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「ほら、分かったらこれを飲みなさい。私にしては頑張った方ですよ☆」
『あ!』
”これ”は翼が脱出の材料に使ったグリーンアップルティだった。
時期を考えてかティーからは湯気は出ておらず、代わりにたくさんの氷が入っている。
翼は目を輝かせた。
『は……わ、ぁ! すごいです! いただいてもいいですか!?』
あまりに嬉しそうにするため、思わず左右に揺れる尻尾が見えそうになるメフィスト。
目を瞬かせながらも、ジェスチャーで「どうぞ」をする。
『いただきます!!
……ん? あれ?』
「どうしましたか?」
口をモゴモゴさせる翼を見て、何故かメフィストは得意顔だ。
その理由は、今まで氷だと思っていたものにある。
『これ……タピオカですね!! 氷かと思ってましたっ。
おいしい……いつかアンドロメダに行ってみたかったんです!』
「アンドロメダ?」
『はい! 天人が経営しているお店なんですけど、とっても珍しいスイーツばかりが並んでるんです!
いつも副長が見て見ぬふりして……お昼でもおやつでもそこでの休憩は許されませんでした』
「……そうなんですか」
眉は下げているが、しかし嬉しそうに笑う翼に、メフィストは口を閉ざした。
そしてどこか悔しそうな、しかしどこか楽しそうな、そんな複雑な表情をしてみせたのだった。