銀→青
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あれから翼は、塾が始まったのでその場を後にし、メフィストの部屋に戻るための帰路についている。
道順は雪男がくれた紙に書いてあるため、何とか迷わず行くことが出来ている。
しかし、何かと不安は大きい。
『か、帰ったら絶対怒られるよね……。よく考えたらあのメフィストさんが気づかないわけないよ……』
今更ながらに自分の犯してしまったことを悔やむが、所詮は今更。
どのように足掻こうが仕方がないことなのだ。
『お、落ち着け。いっぱい謝れば許してくれるはず……』
年齢に相応しいことを呟けば、もう目の前にはメフィストの部屋がある。
こんなにも近いものだったかと頭を捻るが、調度その時、突如聞こえる一人の声。
「翼」
『!!』
それは明らかに中から聞こえ、明らかにメフィストの声だった。
まだノックもしていないのにと驚けば、二回目の声が聞こえる。
「翼、お入りなさい」
『! し、失礼します!!』
呼ばれたため、ドアを素早くノックして中に入る。ガチャリと開けたドアの先には案の定、メフィストが執務机に向かっていた。
「……」
『……』
お互い何も言わない。翼にいたっては完璧に目線を逸らしている。
だが、さすが翼といったところか。どうやら”謝らない”ではしっくりこないようだ。