銀→青
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さて、心の中でメフィストを憐れんだ翼はというと……
コツンッ
『い、いたー!!』
ちょっとしたことから、激しい痛みを伴っていた。
『ちょ、本当に痛い! いつかの副長じゃないんだから小指ぶつけたとか……!』
しかし”馬鹿らしい”と言おうとした瞬間、後ろから聞き慣れた声が聞こえる。
「翼?」
『! 燐!』
見るとそこには調度、これから塾に行こうとしている燐の姿があった。
「久しぶりだな! ってか……」
『?』
燐は上から下まで、翼を眺めるように見る。翼は不思議に思った。
しかし次の瞬間、燐に両肩をわしずかみされたのだった。
「翼!」
『はい!』
どこか険悪の雰囲気を漂わせた燐は、眉間に皺を寄せて言う。
「どーしたんだよその怪我!!」
『……あ』
翼の心境からすれば、さぞ”やっちまった”と思っていることだろう。
メフィストからの脱出で頭がいっぱいだったが、翼の体には今、ありとあらゆる所に包帯が巻かれている。
塾に顔を出そうとしていた翼はたどり着くまでには取っておこうと思っていたのに、すっかり忘れていたのだ。
『こ、これは〜……』
「〜っ!」
理由を聞くのを今か今かと待ち構える燐に、翼は少したじろぐ。