銀→青
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真選組への思いの寄せ具合や、土方への忠誠心の深さから、
”翼は真面目でいい子”
というイメージが皆に植え付けられていた。
もちろんそのイメージは裏切らず、翼は誰からも慕われる副長補佐である。
では、その翼が、果たしてサボりなどするだろうか。
その答えは、否、だった――。
「ここにいる隊士全員に告ぐ!! 今から1分後に会議室で翼のことについて話し合う!
遅れた者は容赦しねぇ!! 以上!!」
土方の締まりある声が響く。
その声を耳に入れるや否や、隊士達は我先にとその場を後にする。
その中で、3人だけはその場に残るのだった。
「せめて2分じゃありやせんか?、土方さん。いくら緊急だからって、会議始まる前にバテちまいまさァ」
「うるせーよ。俺らもさっさと行くぞ」
総悟をテキトウに流せば、土方は前へと足を進める。しかし……。
「翼ちゃんはきっと無事だ。だからそんなに気負うな、トシよ」
「……」
近藤が土方の肩に手を置く。土方はしばらく黙って見つめていたが、「あぁ」と言えば誰よりも早く走り出した。
「トシは表に出さないが、翼ちゃんを俺ら以上に大事に思ってるからなぁ……」
「……」
そう言い、心配そうに土方の後ろ姿を見送る近藤。
それに沖田は何も答えず、ただ、土方の後を追ったのだった。