銀→青
□15
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「そろそろ助けに行くか。何にもなさそうだし」
ただの人間だったか、と木の上から下りようとシュラは動いた。
いや、動こうとした。しかし、その時――
カカカカカカカカカカンッ
「!!」
ヤバイと思って木の裏に身を隠したのが幸い。シュラが木の表に出た時は、あちこちの至る所に小刀が刺さっていた。
凄まじい音がしたはずだ。見れば悪魔はもう一匹も見えなかった。
「恐ろしい女だ」
言いながら木から降りる。地面にも刺さっている小刀を踏まずに進めば、翼の前に立つ。
翼は肩膝を付き、刀は放ったままの形で手を広げている。もちろんその間も、翼の体から血は抜けていっている。
「おい」
『……っ』
相当辛いのか、今度は手を付いて浅く息をし始めた。
「お前15で、しかも女のくせして……よくここまで踏ん張ったな」
敵ではないが、しかし仲間でもない。そんな相手だが思わず称賛してしまう……翼の動きは、それほどまで凄いものであったのだ。
だが翼はさも当たり前のように、そして声を掠れさせながら答える。
『私は……こんな所で、死ぬ……わけにはいかない……
私が、死ぬ……場所は…………
副長の前……ただ、そこだけだ……』
「……」
シュラは何も言えなかった。