銀→青
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「ここに俺ら以外が来んのは始めてだー」
『そうなんですか? お邪魔します』
メフィストと雪男がメンチをきりあっていた頃、翼と燐は旧男子寮に来ていた。
「さすが”旧”ってつくだけあるってゆーか……汚ねーだろ?」
確かに、そこはお世辞にも綺麗だとは言いにくい。
しかし翼は笑顔で、そしてどこか遠い目をしながら答えた。
『いえ、そんなことないです。風穴も空いてないし……』
「かざ……あな……?」
『あ』
沖田のバズーカがちらついたせいで、屯所のことを口走ってしまった翼。
急いで謝れば、燐はニッと笑った。
「謝んなよ! また色々聞かせてもらうぜ!……って、その前に飯か」
食堂へ歩きながら行けば、途中に道案内がチラホラあった。
と、その中の一つを見て、翼は足を止める。
「翼?」
ピッタリと進まなくなった翼を不思議に思った燐も止まる。
見れば翼はどこかもじもじしており、至極何かを伝えたそうだ。
「? どうした?」
『あ、あの……』
と、口では言えないと悟ったのか、翼はある部分をピンッと指差しする。
「ん?」
そこには、このように書かれてあった。