銀→青
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カチャンと音がした後しばらくして、翼は口を開いた。
『あなたに、守りたいものはありますか?』
「守り……たいもの?」
問われたのは、まだ目の前にいる勝呂。
無表情で翼が頷けば、勝呂は翼の目を見て答える。
「寺や」
きっとそれだけでは伝わらないだろうと、未だキリクを持った志摩と隣にいる子猫丸は思った。
が、翼はそんなことは気にせず、更に質問をする。
『そのお寺を、あなたは好きですか?』
勝呂は悩む間設けず、すぐに答えた。
「好きや。それに……」
『……』
「大事やとも思うとる」
「坊……」
「……」
一通りのことを聞けば、翼は顔を俯ける。
しかし、しばらくそこから動かないものだから、勝呂は心配になった。
「ちょ、お前、」
『……』
しかし、直後に翼はゆっくりと顔を上げる。
そして、今まで一度も見せたことのない顔をすれば、小さく呟いた。
『同じです』
「は……?」
『私も上司が好きで、大事で……
だから、守りたい』
「!」
そう言った時の翼顔は驚くほどに、そして見とれるほどに、綺麗な笑みを浮かべていたのだった。