銀→青
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ガチャと扉を開ければ、そこはいつか来たことのある部屋だった。
『……ここ……どこかで……』
しかし、イマイチ思い出せない。
喉のところまで出かかっているのに分からないそのむず痒い感覚に、翼はメフィストにヘルプを出した。
『メフィストさん、私ここ……あれ?』
しかし、後ろを振り返ってもメフィストの姿はもうどこにもなかった。
『”先に入って下さい”って言って……その後についてこなかたったのかなぁ』
そう。メフィストはドアまでは前に立って歩いたのだが、そこから先は翼を先頭にした。
きっと何かを考えてのことなのだろうが……。
『でも、今私一人にされても困るんだけど……こっからどうすれ「翼さん!?」ば……?』
声のした方向に顔を向ける。見ればそこにいたのは雪男で、少し高い台の上に上っていた。
更によくよく見れば、片手には本・片手にはチョークと、どう考えても一つのことにしか当て嵌まらないことをしていた。
「翼さん! どうしてここに……」
しかし色々考えていれば、雪男はすぐ目の前にいた。
どうやら翼がここにいるのが不思議で仕方がないらしい。