銀→青
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「その様子だと、翼の上司は苦労人ですね」
もう一方の手で、スナック菓子を口に放り込んで行く。
その光景を、翼は口元をヒクつかせながら見た。
『否定は……しません。だけど、それなら私も苦労人です』
「おや……というと?」
興味があるのかないのか……メフィストは目だけを翼に向けて聞き直す。
翼は、今までにあった数々の土方の横暴振りを思い出していた。
『そうですね……一番はやっぱりマヨネーズでしょうか』
「マヨネーズ?」
意味が分からないと肩を上げたメフィストに、翼は遠い目を向けた。
土方といえばマヨネーズ。
屯所内で内密に掲げられていた公式は、”土方を怒らせてしまった場合、マヨネーズの二、三本を与えておけば難を逃れる”というものだった。
何ともバカらしい公式なのだが、やはりそれに当て嵌まるのはバカと言うべきか……
現に土方はマヨネーズを献上されれば、自室から早々に隊士を返すのだった。
それを受けて、隊士のほとんどは常に懐にマヨネーズを忍ばせていた。
あの山崎に至っては、ポケットから溢れんばかりに挿入させていたという。