銀→青
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”それ”をペットというには少し無理があり、しかし猛獣というには怖さに欠ける。
翼は色とりどりの”それ”に近寄った。
『……この世界には変わったペットがいるんだね。
あ、でもこっちも変わらないか。定春とかね』
クスッと笑えば、「グオッ」と聞こえる。
まだ”それ”とは距離が離れているため確信はないが、定期的に聞こえるその音はどうやらイビキらしい。
つまり、”それ”は今ゆっくり熟睡中なのだ。
『さ……触ってもいいのかな……?』
好奇心が左右するが、”それ”は鎖で繋がれている。それに口からは寝ているにも関わらず大量の涎が出ていた。
そう。「大量の涎」でお分りいただけると思うが、”それ”とは昨日アマイモンが連れていた鬼である。
なぜか今は主がおらず、部屋の片隅で一人、優雅にお昼寝をしている。
しかも翼が最初に部屋を見回した時はいなかったというのに、どのような速さでまた、どこから現れたのだろう。
全く不思議なのだが、当の本人はそんな疑問知ったことではないと夢の中にいた。