銀→青
□06
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「何をしている。来い」
その声を聞けば、翼の頭に手をやっていた者は素直に従おうとする。
しかし、新たな声と耳元の動く音と気配が、翼の五感を刺激した。
カチャ
「……」
『……』
「……おやおや」
今、声を上げたのはメフィスト・フェレス。先程戸を開け、声を出したのもこの男だ。
「すみません。起こしてしまいましたか☆」
対する翼は、ベッドの上で膝を曲げ、腰を下ろした状態で刀を構えている。
先程まで寝ていたとは思えない早業で、メフィストはその一瞬の出来事をやっと目に納めることが出来た。
『……今』
そんな中、翼は覚醒しきった声で話す。
『今、ここに誰かいませんでしたか?』
その問いに、メフィストは肩を竦めて答えた。
「いえ、私とあなたの二人だけですよ?」
その顔は実に楽しそうなニタリ顔ではあるが……。
『……』
「……」
両者の沈黙問答が続けば、どこか遠くで小さな音が響く。