銀→青
□06
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「……」
『ハァ……ぅ……』
「……」
音の主は、翼の横に来た。しかし、そこで何をするわけでもなく、ただ翼を見ていた。
『……ぅ……』
その間も絶えずうなされる翼。今誰かが横にいる等知る由もない。
「……」
声の主は何も言わないが、自身の右手をゆっくりと動かした。
そしてそのまま翼の頭には持って来れば、まるで撫でるように手を前後に動かした。
すると……
『ぅ…………スー』
今までうなされていたのが嘘のように、翼は規則正しい寝息を立て始めたのだ。
手の主はそれを見ても、尚も手の動きを止める気配はない。
その絵は端から見れば、まるで母が我が子を宥めているような、そんな優しい光景だった。
しかし、その時も僅か。
カチャと更に新しい音が響けば、一人の男が姿を現した。