銀→青
□03
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しかしそこへ、第三者の声が。
「はっはっは! これはまた面白い人が来ましたね☆」
ポンッと音がしたかと思えば、三人から少し離れた所に先ほどまで犬だったものの姿があった。
「ピエロ……」
「フェレス卿!? 一体どこから……」
「まぁまぁ、良いじゃないデスか☆
それよりも……」
燐はメフィストが犬に化けていたことを知ってるが、雪男は知らない。
燐は今言うべきかどうか迷ったが、メフィストが翼に目を向けたことで一気に忘れてしまった。
『あ〜あ〜あ〜どうしよう〜!!』
自分を見る目が三人になっても、翼はお構いなしに自分の世界に入っていた。
ボーッと考えているかと思えば、また手を頭に置いて『副長が副長が』とぼやいている。
「これはこれは……」
その様子を、メフィストはそれは面白いと言わんばかりに見つめていた。
しかし、そうばかりもしていられない。メフィストは素早く翼の前に姿を見せると、燐に挨拶したように腰を折った。
「初めまして。私はこの正十字学園の理事長メフィスト・フェレス」
『せいじゅう……じ……?』
いきなりの登場と、道化師のような奇抜な衣装のせいで、翼は目を眩ました。
更に分けのわからない言葉ばかりを聞かされるものだから、頭まで痛くなる始末。
ただでさえ副長のことがあるのにとぼやけば、虚ろな目でメフィストを見た。