銀→青
□02
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トンと体と何かがぶつかる音がすれば、翼は覚醒する。
ゆっくりと目を開け、自分はどうしてしまったかと確認を急ごうとした。
しかし、
『……ここ……どこ……?』
目に映ったのは、あまりにも見覚えのない風景。
『副長……?』
不安でつい、土方を呼んでしまう。用の無い時以外に呼べば怒られるのに。
しかし怒声が返ってくることもなければ、土方の声が聞こえることもなかった。
『……っ』
翼はいよいよ不安になる。
知らない所でたった一人、わけの分からない場所に放り出された。
その信じられないような事実が、翼の涙腺を緩ませれば、翼は手をグッと握った。
『さっき言われたばかりなのに……泣いたら、ダメだ』
先程土方に言われた”武士なら簡単に泣くな”という教え。
翼はそれを破らまいと、必死に涙を堪えた。