銀→青

□02
2ページ/9ページ


「ふぅ」と紫煙を吐き出し、一息つく土方。沖田は黙って見るも、いつものように生意気な表情を浮かべている。



「……何だ」


どうも居心地が悪いので問いただせば、沖田は「いやね」と言って続けた。



「土方さんはいつも卑怯だと思いやしてね」


「……」



挑発的な意味が含まれているのはもちろん分かっていたが、土方はそれを気に止めることなく沖田に背を向ける。



「しばらく、翼のこと、頼む」



そしてそれだけ言い残せば、土方は一人で帰路へとつくのだった。


しかしその時。


土方の耳にどこからか聞き覚えのある声が届いた。



「……翼?」



しかし、辺りを見回してもどこにも翼の姿は見られない。


聞き間違いだったかと思えば特に気にすることもなく、土方はそのまま足を進めたのであった。



翼が行方不明だと騒がれるのは、もう少し、先の話――。


 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ