銀→青
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「キャアアアァァ!!」
甲高い声が響くのは、どこを見ても真っ暗な空間。
しかし真っ暗で何も分からないというのに、何故か下に落ちて行っている感覚だけは分かった。
『ふ、く……ちょ……』
そのことだけ理解すれば、翼は遠退く意識に身を任せた。
そして、重力の従うままにただ下へ下へ……いつまでも落ちて行くのだった。
一方、同じく強い揺れを感じ取った土方達。
滅多に地震はこないため、流石の土方も少しだが冷や汗をかいた。
しかし、それもつかの間。
いつの間に横に来ていたか分からない沖田に、全ての意識を持って行かれた。
「土方さんも人がわりぃーや」
「……何のことだ」
目だけを動かして沖田を見れば、沖田は土方同様、翼の行った方向を見ていた。
「タバコ、ポッケからはみ出してやすぜ?」
言うや否や、ヒョイとスボンの後ろポッケからタバコの箱を取り出す沖田。
土方はそれをもぎ取れば、素早く新しいタバコに火をつけた。