銀→青
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真選組参謀・伊東鴨太郎が、たった今列車から連れ出された。
ヘリコプターから攻撃され、土方達を庇った伊東。その体にはたくさんの風穴が空いている。
更には、先ほどの列車事故で左腕を失い、今はそこからもとめどなく血が流れている。
そのため、伊東が歩けばおびただしいほどの血液が尾を引いた。口からも幾度となく吐血し、足も覚束ない。
それを見れば、誰もがわかるだろう。
伊東の死は、すぐそこだと――。
「う……っ、ぐはっ!」
数人の隊士の手が離れれば、伊東はだだっ広い平地に投げ出される。その衝撃で、伊東はまた血を流す。
その様子を見ている者、大勢。近藤率いる真選組、銀時率いる万事屋。
そしてその中に、まだ幼い顔つきながら真選組の隊服をきちっと着こなしている少女がいた。
その少女は総悟の隣で、皆と同じように真剣な眼差しを伊東達に送ってる。
”伊東達”というのは、伊東の近くにもう一人いるということだ。
そう、真選組鬼の副長・土方十四郎である。
カチャッ
「立て、伊東」
土方は、伊東の方へ数歩歩み寄ったかと思えば、一本の刀を放り投げる。
「決着……着けようじゃねーか」
伊東ほどではないが、頭から血を流しながら言う土方。その口には、いつものタバコが咥えられていた。
伊東は起き上がるのもやっとの体を、最後の力を振り絞って立ち上がる。その表情は、驚きに満ちていた。