銀→青

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「な!? 翼!!!!」



雪男のいきなりの行動に、燐は悲鳴に近い声を上げる。その間、翼の体はどんどん地に近づいて行った。そして――



トサッ



下で構えていたメフィストの手に、優しく抱き留められたのだった。



『……っ』



またもやお腹を狙われた翼は、何だか話す気力もなくなっていた。虚ろになる目を必死に見開き、メフィストを見る。



そして可能な限り声を出して、自分の最後になるであろう言葉を、聞いてもらいたい人へと必死に届けた。



『だぃ……す……』



そして、まるで力尽きたかのように全身の力を抜いて、瞳を閉じたのだった。







「う……そだろ……」


納得いかないのはこの男、奥歯燐。弟である雪男がどうしてこのようなヒドイことをするのかと、今は体から青い炎を出して訴えている。


「翼を……雪男おぉ!!」


燐は物凄い速さで雪男の元へ行く。そして頬の一発でも殴ってやろうかと拳を作り上げた、その時――。


「あれは鎮痛剤が入ったカプセルだから。まぁ、即効性はバッチリだけどな〜」


何とも間延びした高い声が、その場に響いたのだった。しかし、聞いたことある声に、燐は嫌な予想を立てる。


するといつの間に来ていたのかは分からないが、雪男の隣には自称18歳のシュラが立っている。


燐は思わず指を指して驚いた。


「おま!? ってか翼へ打ったあれが、え……?」


いつも通りおいてけぼりになっている燐へ、これまたいつも通り、雪男が解説し始める。

 
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