銀→青
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「翼!!」
メフィストはついに怒鳴る。これ以上は本当に危険だと思ったのた。
しかし、翼は耳を貸そうともしない。いや、もしかするとメフィストの声すら、もう届いてないのかもしれない。
『ぅぉおおっ!!』
自分を奮い立たせるための掛け声は、教室に悲しく響く。そして、その音に続けて、翼の足音が呼応し始める。
「……」
メフィストはその姿を、表情険しく見る。しかし、傘は構えようとしない。もう刃は目の前に迫っているというのに。
タッタッタッ
すると、その音の合間に誰かの声が聞こえる。それは、よくよく聞けば……
「翼」
メフィストの声。
タッタッタッ
「すみませんでした」
スッ
『!?』
すると、その声が聞こえて翼の目には有り得ない光景が目に入る。
今まで目の前にいたメフィストがいきなり姿を消したのだ。更に、ただメフィストの姿が消えただけではなく……
チャキ
「神崎先生、すみません」
『!? ゆ、』
こちらに拳銃を構えた雪男が、その場に姿を現せていたのだった。
翼は驚く。だが、驚いている暇はなかった。なぜなら、目の前の雪男は躊躇することなく、
バンッ
引き金を、引いてしまったのだから。