銀→青
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キンッ
『じゃぁ、メフィストさんは私のことを見てはいません!!』
キンッ
「そうかもしれませんねぇ。私は、翼のことなんぞ興味はありませんから」
キンッ
犬の姿になってまで翼を見ていたというのに、そんなことを言う自分に思わず笑う。
キンッ
でも、
『違います!!』
その笑みでごまかせていたと思ったのに、
『メフィストさんはいつも私のことを見守ってくれていました!!』
「!!」
嘘が崩されそうになる。
キンッ
「言ったでしょう。私が興味あるのは、その刀だけです」
だから、止めてほしい。
『……っ!』
そんなに傷ついた顔をするのは――。
キンッ
翼はメフィストから離れる。そして瞬時に体勢を立て直そうとする。
しかし、
『ゥ……ゲホッ……ッッ!!』
とっくに限界を超えていた翼の体は、主の思考についていけなかったのであった。
「もうおやめなさい。本当に死にますよ、翼」
メフィストは声を低くする。その背景には、もう向かって来ないでほしいという意味が含まれていた。
しかし、今の翼は完璧にストッパーがとれてしまった暴走車だ。動かない体には鞭を打ち、再び刀を構える。