銀→青

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キンッ



『私、メフィストさんのこと好きでした……っ!』



キンッ



「その言葉、何度も聞きました」



キンッ



二人のぶつかり合いは続く。それは剣で、という意味もあるが、文字通り、


二人のありのままの、ぶつかり合いでもあった。



キンッ



『メフィストさんは分かってません!!』



そしてこの時、メフィストは思っていた。



キンッ



「何をですか」



自分の中でだけでも、たまには素直になってみよう、と――。



キンッ



『全く、分かってないです!!



好きだから……

好きだから何度も言うんです!!』



キンッ



そう。心の中だけでも、素直に。



キンッ



では、その反対は?



「……嫌になりますね」



口では、ありったけの嘘をついて。



キンッ



『!? 嫌……?』



「はい。言葉だけの建前で……中身など一つも詰まってない。聞くだけでも嫌になりますよ」



メフィストは分かっていた。



キンッ



『いつ、私が言葉だけなんてことを言いましたか!?』



キンッ



例え恋愛感情がなく、翼がそのように言っていたのだとしても、



「翼を見てれば、分かるのですよ」



翼に好きだと言われればそれがどのような意味であれ、心の底から喜んでいる自分がいることに。


 
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