銀→青
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シュッと当てられたのはもちろん刀。高杉はさぞ楽しそうに、翼の喉元に刃を充てていた。
「俺を小刀ごときで仕留められると思ったか?
ククッ……嘆かわしいねぇ。異世界でその命、消されるとはな」
『……フフ』
絶対絶命だと言うのに、どうして笑っていられるのか。これにはあの高杉でさえも、少しだけの疑問を抱いた。
が、その時。
ズッ
「!?」
『嘆かわしいなぁ。
自分の悦に浸っているせいで、足元どころか腹も見えていないなんて』
「……ってめぇ」
自分の腹を確認するまでもない。高杉は刺されたのだ。翼が懐に隠していた、あの短刀で。
しかも高杉に気付かれないように、自分の隊服から刃を突き刺し、高杉の腹へとめり込ませている。
さすがの高杉もそこまでするとは予想出来なかったため、翼が思っていたほどではないが、高杉が思っているほどは刺さっている。
すぐに形成逆転せんと、高杉は首に沿えていた刀に力を込め手前に寄せようとする。が、それも翼の短刀により塞がれてしまった。
キンッ
『お前の皮膚に刃が刺さっている光景を見るのも悪くないが、私はお前から早く離れたいもんでね』
ビリッ
翼は高杉から短刀を抜いて離れるでなく、自分の隊服を破って高杉から離れた。