銀→青
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ここだ!!
翼は確信する。
そして愛刀の柄の部分を口でくわえ、素早く両手で懐から十本ほどの短刀を取り出し、
シュンッ
煙り漂う中にいる高杉にへと投げたのだった。
カチャ
『今回死んでいった隊士は山のようにいる。それこそ、弔っても弔いきれないほどな』
『それに、その中には副長が抱えている監察もいた。伊東側にやられたと報告を受けているが、お前らがやったことには変わらない。
その報い、受けてもらうぞ』
翼は山崎の葬式中に何があったか知らない。そう。式中に本人が出て来た、なんて何とも馬鹿らしい事実を、翼は全く知らないのだ。
すると、そのことを一番よく知っている万斉が話に入る。
「あの男は生きているでござる」
『! 嘘を言うな』
「嘘など申しておらん。トドメは刺さなかったのだ。ちと、奴の曲の続きが気になってな」
『!? 敵の言うことに、何の確証を持てと言うんだ』
事実なのになかなか納得してくれない翼に、万斉は再び「やれやれ」と言ってため息をついた。
『……』
罠か、事実か。
翼としては後者を祈るに限る。しかし、今祈りを捧げると、いつの間にかはられた罠に、自らハマることへと繋がる。
そう。翼が考えに耽っていたその瞬間、
『……っ!?』
シュッ
「よそ見はどっちだろーな」
いつの間にか高杉に後ろを、取られていたのだった。