銀→青
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キィッ
「!」
しまった、と思った時はもう遅い。
メフィストは大分翼のところへ近づいていたのだが、ドアの音に翼が反応してしまったのだ。
『どなたでしょう?』
翼は近くにいるメフィストの存在に気付かず、ドアに近づく。
すると、扉の向こうから微かに人の声が。
「……もう少し……った……ござる」
『!?』
その声はとぎれとぎれで聞こえにくかったが、何とか聞き取れる。しかし語尾だけを聞いた翼は、ある人物を想像した。
『……っ!』
頭の中で”ありえない”が廻る中、隅の方で警鐘が鳴り響く。
翼は、身動きが出来なくなった。
しかし、それは甘い。
なぜなら、
キィッ
「! お主は……」
『!!』
翼がその目で”河上万斉”を見てしまったその時は、息をすることさえも出来なかったのだから。
「……」
『……』
互いに固まる。
万斉はここをただのメシ屋だとしか思っていないし、翼は、何故ここに万斉がいるのかと不思議でならない。
一方で、そんな二人を交互に見るのはメフィストと塾生。まさか万斉を敵だとは認識していないため、燐などは「翼の仲間!?」と声を上げている。
が、ここで、気になって仕方なかった翼が、ついに口を開いた。