銀→青2
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ある日、その部屋は一種の子ども部屋と化していた。
「トントントントーーン」
「わーい、楽しいですー」
「日本は色んなおもちゃがありますねー」
そう言いながらミニ太鼓を叩くのは、尖んがり頭が特徴的なアマイモン。
どうやらメフィストの”無限の鍵”を使って、至る地方からの有名品を買ってきたようだ。
「兄上ー、見てくださーい」
まさに子どもと言うべきか。いや、本来なら充分良い歳をしているアマイモンは、兄であるメフィストに必要以上に問い掛ける。
「アマイモン……」
もううんざりだ、と言わないばかりに、メフィストは額に手をあてうなだれる。しかし、そんな兄に弟は容赦ない。
「兄上ー。いつか兄上に引っぺがされた着物ー。僕また列に並んで買い直したんですよー」
「……」
まさか弟があれを好きだとは思わなかったので、アマイモンが着ている着物を目をひんむいて見るメフィスト。
そして、”なぜ弟とお揃いの着物を持たなくてはならないのか”という疑問に駆られ、また机に向かってうなだれた。
が、弟はまだ止まらない。
「あー、兄上ー。そう言えばこれも兄上とお揃いですー」
「あ? まだあるのか? 正直懲り懲りなんだ、が……」
しかし、その”お揃い”を見た瞬間、メフィストは凍り付けにされたように固まったのだった。